日本映画『男ともだち』成田凌が最優秀男優賞
『魔法の星図』がコンペ部門初のアニメ作品として審査員特別賞を受賞
第39回東京国際映画祭が、11月4日(水)に閉幕を迎え、ヒューリックホール東京にてクロージングセレモニーと有楽町朝日スクエアにて審査委員会見・受賞者記者会見を行いました。
セレモニーでは、各部門における審査委員により受賞作品の発表および表彰が行われました。【東京グランプリ/東京都知事賞】にミルチョ・マンチェフスキ監督の『妹兄(きょうだい)とマンホールの蓋』が選出され、ロルフ・デ・ヒーア審査委員長よりトロフィーを授与されました。日本映画からは、『男ともだち』の成田凌が最優秀男優賞を受賞。審査委員特別賞はコンペティション部門における初のアニメ作品『魔法の星図』が、同部門初のアニメ作品としての受賞も果たしました。また、『ふたりを結ぶ夜』主演のフー・リンが最優秀女優賞を受賞、最優秀監督賞は『ふたつの自由』のリサンドロ・アロンソ監督が、最優秀芸術貢献賞は『今日が終わるまで』が(その映像表現に対して)、そして観客賞は『ヘイゼル85』がそれぞれ受賞いたしました。
山下聡東京都副知事より麒麟像の授与を行い、最後に久松 猛朗フェスティバル・ディレクターによる閉会宣言により第39回東京国際映画祭は閉幕いたしました。


第39回東京国際映画祭 各賞受賞作品・受賞者
コンペティション部門
東京グランプリ/東京都知事賞 『妹兄とマンホールの蓋』(北マケドニア/ブルガリア/セルビア/アルバニア/イタリア/イギリス)
審査員特別賞 『魔法の星図』(シンガポール)
最優秀監督賞 リサンドロ・アロンソ監督(『ふたつの自由』、チリ/アルゼンチン/ルクセンブルク/ドイツ/イギリス)
最優秀女優賞 フー・リン(『ふたりを結ぶ夜』、フランス/香港)
最優秀男優賞 成田凌(『男ともだち』、日本)
最優秀芸術貢献賞 『今日が終わるまで』(セルビア/ブルガリア/スロベニア/モンテネグロ/クロアチア/ドイツ)
観客賞 『ヘイゼル85』(ベルギー/オランダ/ドイツ)
Nippon Cinema Now部門
作品賞『シルバー・エクスプレス』(日本)
審査委員特別賞『いえないふたり』(日本)
アジアの未来部門
作品賞 『シェリフェ』(スイス/トルコ)
スペシャルメンション 『12月のジャニ』(インドネシア)
アジア学生映画コンファレンス部門
作品賞 『太陽の下を駆け抜けて』(ベトナム)
審査委員特別賞 『すべて順調』(シンガポール)
審査委員特別賞 『彼女のすべて』(韓国)
東京国際映画祭 エシカル・フィルム賞 『夢から覚めることはそうない』(ドイツ/ウクライナ)
黒澤明賞 呉美保監督、モハマド・ラスロフ監督
グローバル・シネマ・リーダーシップ特別賞 ビル・クレイマー
■クロージングセレモニー
<アジア学生映画コンファレンス>
テオドラ・アナ・ミハイさん講評:
非常にシネマティックな言語を使いこなす作品・監督たちに感心しました。予期しない展開をみせたこと、若いカップルの当初の問題がより複雑になりそこに直面する心理の葛藤が描かれていました。
審査委員特別賞『すべて順調』 ナー・イーチェン監督 コメント:
受賞できて嬉しいです。チームメイトと、アニメーションをシンガポールで作成することを許してくれた両親に感謝したいです。
審査委員特別賞『彼女のすべて』 キム・ナムヒョン監督 コメント:
今この瞬間を信じて、いい映画を作っていきます。
作品賞『太陽の下を駆け抜けて』 グエン・ヴ―・ヒエン・チー監督 コメント:
同僚や家族、新たな友人の皆様にお礼を申し上げます。
<アジアの未来>
ユリア・エフィナ・バラ 講評:
この数日間、アジア各地の新鋭監督による素晴らしい10作品を拝見しました。地域もジャンルも多岐で、人間関係を深く描いている作品の中で、とりわけ子供たちの視点で描かれた作品が多かったです。スペシャルメンションは、 『12月のジャニ』に捧げます。
藤元明緒 講評:
偏見や抑圧を勇敢に乗り越えていく主人公の姿に心を打たれました。その歩みを他者との断絶ではなく関係を結びなおすことによって描いていく視点も素晴らしかったです。本作は分断の時代に応答する力強い人生賛歌であり、これからの未来を切り開く映画となっていくことを願い作品賞に選びました。
作品賞受賞 『シェリフェ』 タレク・ダウド監督 コメント:
人生で初めての賞となります。映画を作ること自体が素晴らしい経験で、これからも映画界を盛り上げていきたいと思います。
<Nippon Cinema Now>
村田千恵子 総評:
海外の映画祭でも上映され、多くの方々に観てもらえることをとても楽しみにしています。今年のNippon Cinema Now部門は、人間ドラマ、コメディ、SF、ドキュメンタリーとバラエティーに富んだ8作品が150本以上の応募作品の中から選ばれたと聞いております。それぞれ個性あふれた作品で「日本映画界の未来は明るいね」とサブリナさんから言われました。グランプリの『シルバー・エクスプレス』は審査員全員が満場一致で推した作品でした。審査員特別賞には受賞作となった『いえないふたり』以外に『火の玉を見た』『プラスチックラブ』『恋する地球人』を推す声もあったことをここにお伝えいたします。
審査委員特別賞 『いえないふたり』 まつむらしんご監督 コメント:
この作品は関係が途絶えてしまった二つの家族が、向き合うというとてもシンプルな映画です。作品を作る前にみんなで話したのが、とにかく俳優を魅力的に撮ろう、その1点のみです。今日いただいた賞はすべての俳優に捧げます。
作品賞『シルバー・エクスプレス』 田中未来監督 コメント:
名誉ある賞をいただき、ありがとうございます。本作は現代を生きる若者の葛藤を描いており、こうした部門の賞をいただけて大変うれしく思います。またこの映画祭に帰ってこられるように頑張ります。
<コンペティション>
観客賞受賞 『ヘイゼル85』 テオドラ・アナ・ミハイ監督 コメント:
受賞者として登壇して、言葉を発するとは思いませんでした。私の作品を観ていただき、ありがとうございます。作品を作るとき、観客に共感してほしいという気持ちで作っています。私の最大のインスピレーションの源でもある、子どもたちにも感謝したいです。
最優秀芸術貢献賞授賞 ヨブ・ムーア 講評:
本作の抑圧感や緊張感、そして作品世界特有の空気を見事に捉えた圧巻の映像表現。さらに、撮影監督の卓越した手腕によって、主人公たちの混沌としながらも純粋な愛が美しく増幅され、鮮烈に映し出されたことを高く評価しました。
最優秀芸術貢献賞受賞 『今日が終わるまで』 イェレナ・マクシモヴィッチ監督 コメント:
私の作品を選出してくださってありがとうございます。私とこの作品に関与したすべての人たちを代表して感謝申し上げます。この受賞ですが、自由のために闘っているセルビアの学生にも捧げたいと思います。
最優秀男優賞授賞 渡辺真起子 講評:
主人公の痛みを、静かな友情をもって見つめ続ける役。その絶妙な距離感を、身体性を伴って表現されました。そして、物語の外からも、この映画の歩みを同じように見守っていました。
最優秀男優賞受賞 『男ともだち』 三島有紀子監督(成田凌 代理登壇):
この光景を成田凌さんに見せたいですね。 成田凌さん、本当におめでとうございます。そして成田さんの良さを、審査員の皆さん見つけてくださって、本当にありがとうございます。成田さんは沈黙の中に、そして、身体性の中に、そして、言葉の裏に、感情を宿すことができる俳優さんです。 私たちはもう本当に彼を信頼していましたし、この作品を豊かにしてくれたと思います。この映画は、男ともだちがずっと見る、という行為を続けます。 彼は、我々の現場もずっと見て、監督の私のこともずっと見て、そばにいてくれました。 一つだけ、彼の素敵なエピソードを話させてください。 撮影でどうしても雪が降ってほしい日に、全然降らなくて。 私が空を見上げて「雪降ってくんないかなあ」って言ってたら、成田さんが横で「雪、降れ」って、空に向かって言ってくれて。 それで、雪が降ったんです。 彼はそういう映画を、そして現場を豊かにする力がある俳優さんだと思います。 成田凌さん、本当におめでとうございます。 私たちは全員、あなたのことを心から誇りに思っています。
最優秀女優賞授賞 渡辺真起子 講評:
たとえ孤独であろうと、長い道のりを、力強く一歩ずつ前へと歩み続ける姿。その強さをたずさえながら、同時に、胸の奥に横たわる深い喪失を余すところなく表現されました。そしてその演技を映像にとらえた、世代を超えて集う制作チームを成功へと導く灯火となったのが、彼女の存在でした。
最優秀女優賞受賞 『ふたりを結ぶ夜』 フー・リン コメント:
私のチームのメンバー、私を育ててくれた両親、母校である北京電影学院の先生方、そしてずっと応援してくださった皆さんに心から感謝を申し上げたい。
最優秀監督賞授賞 アレックス・ロー 講評:
ミニマルでありながら極めて効果的な映画言語によって、時間の重みとその流れを精緻に捉えた点。さらに、監督の厳格で抑制の効いた演出が、日常のささやかな瞬間を忍耐強く見つめることで純粋な物語の推進力へと昇華し、一分一分の経過を具体的かつ催眠的な体験として観客に体感させた点を高く評価しました。
最優秀監督賞受賞『ふたつの自由』 リサンドロ・アロンソ監督 動画コメント:
このような評価をいただき、とても嬉しく思っています。このプログラムの一員になれたことを光栄に思います。いつか別の作品とともに、ぜひそちらへ伺いたいと思っています。現地にいた友人から、上映の様子や観客の反応を聞くことができ、とても嬉しかったです。私が深く、特別な思い入れを抱いている作品に、この素晴らしい評価をくださった審査員のみなさんに感謝します。
審査員特別賞授賞 オ・ジョンワン 講評:
現実と幻想、歴史と神話が壮大なスケールで交錯する叙事詩的作品。現実世界と幻想世界の双方を描き出すために用いられた多彩な芸術技法と表現様式、その卓越した創造性と映像美を高く評価しました。
審査員特別賞受賞 『魔法の星図』 スン・シュン監督 コメント:
東京国際映画祭への出品が決まったと聞いた時、本当に驚いたのですが、今日ここに立つことが出来て、より大きな喜びを味わっています。なにせ、この作品の完成までに10年もかかりましたので。映画祭、審査員の皆さん、制作に携わってくれたチームのメンバー、そして私の家族に心からの感謝を伝えます。この経験を大切に、よりよい作品を生み出していきたいです。
東京グランプリ/東京都知事賞授賞 ロルフ・デ・ヒーア審査委員長 講評:
ユーモアと悲劇、そしてドラマを見事に融合させていること。登場人物たちに向けられた深い人間味と温かなまなざし。そして、感動的でありながら遊び心にも満ちた、複雑でありながら整合性のある作品であることを高く評価しました。
東京グランプリ/東京都知事賞受賞 『妹兄とマンホールの蓋』 ミルチョ・マンチェフスキ監督 動画コメント:
『妹兄とマンホールの蓋』を愛してくれて嬉しいです。東京国際映画祭は、世界で一番好きな映画祭のひとつです。この賞は 実現しないかもしれなかった風変わりな映画へのささやかな名誉回復です。変わった家族の物語であり、持てる者と持たざる者の物語であり、メッセージではなく人間を描いた映画です。この映画を東京へ導くにあたり献身と安定した手腕を発揮してくれました。ありがとうございました。
山下聡東京都副知事(小池百合子都知事メッセージ代読):
『妹兄とマンホールの蓋』のミルチョ・マンチェフスキ監督をはじめ、受賞された皆さま、本当におめでとうございます。近年、日本映画は世界各地で高い評価を受け、その創造力と豊かな表現は国際的な存在感を一層高めています。世界中の映画人がここ東京に集い、この映画祭を通じて多様な文化や感性に触れ、交流を深められることを心より喜ばしく思います。映画には、国や地域、言葉や文化の違いを超えて、人々の心を結びつける力があります。変化の激しい時代にあっても、映画がもたらす感動や共感は、人々に希望を与え、未来を照らす光となることでしょう。今年は、日本映画、そして日本とアジアの共同制作による作品の国際展開を支援する「ワーク・イン・プログレス」を新設いたしました。こうした取り組みを通じて、東京から映画の可能性が広く発信され、より多くの優れた作品が世界へ羽ばたいていくことを期待しております。この東京国際映画祭が、世界中の人々を魅了する文化の祭典として、今後ますます発展することを願います。
ロルフ・デ・ヒーア審査委員長 総評:
数日間にわたって作品を鑑賞するなかで、私たちにとって明らかになったのは、それぞれの作品が持つ驚くべき多様性、そして映画としての個性がいかに異なっているかということでした。作品を選ぶ際に私たちを試すかのように、あるいは何かの仕掛けを施したかのようにも感じられました。作品同士に似ている点はほとんどなく、簡単に比較することもできません。いったいどのように比べ、評価すればよいのでしょうか。世界の映画は、実に豊かです。審査委員同士の協議は、この山を登り切るための重要な鍵となりました。多様な顔ぶれがそろった審査委員会だからこそ、難しい問題の核心にまで踏み込み、互いに新たな気づきを与え合い、それぞれの専門知識を生かしながら議論を深めることができました。互いを尊重しながら、少しずつ結論へと歩みを進めていく時間は、本当に喜ばしいものでした。何よりうれしいのは、すべての賞を、審査委員全員で選ぶことができたとお伝えできることです。私たちを支えてくださった皆様に心の底から感謝申し上げます。
<クロージング作品>
ヨン・サンホ監督 コメント:
劇場では、自分が生きていて経験することができない非日常を、安全に集中して経験できます。ぞっとするような状況を映画館で満喫してほしいです。この映画が扱っているテーマについて一緒に映画をご覧になった皆さんと長い時間をかけてお話しできると嬉しいです。
ヤン・ユミン コメント:
東京国際映画祭で、日本の観客にコロニーを紹介出来て嬉しいです。本作は劇場で楽しむにぴったりなコンテンツです。アクション、音楽、演技の熱演すべてお楽しみいただけます。ゾンビが新しい形で紹介されているので、そこにも注目していただきたいです。
ク・ギョファン コメント:
この作品を紹介できて嬉しいです。映画をご覧になった後、ぜひ多くの方と語り合っていただければと思います。皆さんの感性に訴えかけてくる作品だと思います。皆さんのエキサイトしている姿、そして皆さんがこの作品を見て感じてくださったことを、私も知りたいです。
奈緒コメント:
このような東京国際映画祭の場で、尊敬する皆さまと一緒に舞台に立ててとても光栄に思います。この物語は1つの建物の中で起こります。 なので映画館で見ると、まるで自分たちもその建物の中に一緒にいるような体験をすることができます。 私自身初めて見る、アップデートする軍隊のゾンビという新しい出会いをする事ができた映画です。
梶 裕貴 コメント:
素敵な場で素敵な作品の吹替声優として来られて嬉しいです。本作のキーワードは「早い」ということだと思います。感染の早さもそうですけど、ゾンビ、いわゆる感染者たちの動きがものすごく早くて、それが4足歩行から2足歩行に進化していっていう恐怖もあるんですけど、その身体表現が、このテクノロジーが進化している中で、コンテンポラリーダンスのダンサーの方たちの表現によって、本当に信じられないような動きがスクリーンで繰り広げられます。
久松猛朗フェスティバル・ディレクター コメント:
まずは受賞された皆さま、おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。そして残念ながら受賞に至らなかった皆さまも、ぜひ次のチャレンジに向かっていただきたいと思います。今年の東京国際映画祭も、本当にたくさんの方々のご支援、ご協力により、本日無事に閉幕を迎えることができました。ご参加いただいた国内外のゲストの皆さま、審査員の皆さま、熱心に映画館へ足を運んでくださった映画ファンの皆さま、映画祭を支えてくれたスタッフの皆さま、そして先ほど映像にも映っていました多くのボランティアの皆さまに、心より感謝申し上げます。映画は必ずしも明るく楽しい作品ばかりではありません。しかし映画祭は、そうした作品も含めてさまざまな映画を楽しみ、映画について語り合い、祝い合う、映画のお祭りの場であるべきだと思っています。来年、東京国際映画祭は第40回という節目を迎えます。国内外からより多くのゲストをお迎えし、より多様で華やかさと祝祭感にあふれる映画祭にしたいと考えています。皆さまのさらなるご支援、ご協力を心よりお願い申し上げます。本当にありがとうございました。そして、また来年お会いしましょう。