2026.11.01 [イベントレポート]
川上未映子、長編小説が初の映画化「原作にとって美しい翻訳」と絶賛!『すべて真夜中の恋人たち』ジャパンプレミア

第39回東京国際映画祭が開催中の東京・丸の内ピカデリーで11月1日、『すべて真夜中の恋人たち』がジャパンプレミア上映された。同映画祭のガラ・セレクション出品作品。監督・脚本の岨手由貴子をはじめ、主演の岸井ゆきの、共演する浅野忠信と森田望智、原作者の川上未映子が出席した。

人との関わりを避けて生きてきたフリーの校閲者である入江冬子(岸井)が、年上の物理教師・三束(浅野)との出会いと交流をきっかけに、自らの孤独や感情と向き合っていく。

川上にとって、長編小説が映像化されるのは初めてのこと。原作発表から15年を経て「映画を拝見し、映像化は原作にとって美しい翻訳のひとつなんだなと感じた」「書くだけ、読むだけでは分からない物語があり、このことに気づいていく体験だった」と絶賛する。

続けて「皆さんのご経験と時間を持ち寄って、映画は光に向かっていく。まったくの幸運にあずかった」と登壇者たちに感謝を伝えていた。

主演を務めた岸井は、発表当時から原作の大ファンだといい、「再現するだけでは、映画として立ち上がらない。原作をなぞってはいけないと思った」と深い思い入れ。「何度も読んでいて、自分の中にも、冬子の歴史が詰まっているので、そこから脱却し、映画で感じる新しい冬子とは何だろうと……。それまで(の過程)が大変でした」と振り返った。

そんな岸井について、岨手監督は「冬子が出ていないシーンはほとんどなく、準備期間からずっと駆け抜けてきた戦友」だと共闘に感謝。「すごく映画が好きで、俳優というよりは、俳優部のチーフとして現場にいてくれる感じだった」と語った。

冬子の独白である語りを松坂桃李が担当している。岨手は「小説の映像化で、1人称のナレーションは扱いが難しいが、このモノローグをなしにはできず、原作に書かれている言葉の美しさを映画にも取り入れたかった」と説明。川上は「男性の声がどんな位置づけで、どういう風に響き合うか、受け取り方があると思う」と話していた。

第39回東京国際映画祭は11月4日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。
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