2026.11.01 [イベントレポート]
「ghost 夜の果て」堀田真由、監督から「棒読みで」と異例のオーダー 羊文学も声の演技を絶賛【第39回東京国際映画祭】
ghost/夜の果て
©2026 TIFF

第39回東京国際映画祭アニメーション部門作品『ghost 夜の果て』の舞台挨拶が11月1日にTOHOシネマズ日比谷で行われ、主人公のニケを演じる堀田真由と、主題歌・挿入歌を担当する羊文学(塩塚モエカ、河西ゆりか)が登壇した。

本作は、「ワンパンマン」「ACCA13区監察課」などで知られる夏目真悟監督の初となるオリジナル長編劇場アニメーション。舞台となるのは、優れた人間だけが働き、誰もが18歳になると世界に必要な人間か否かを選別される世界。15歳にして選別された特権をもちながらも、世の中とのズレや孤独を感じ自分の居場所を探し続ける少女ニケが、深い喪失を抱えて身体に刺青を入れ続けながら日々を生きるマスと出会い、やがてある決断を下す姿を描く。アニメーション制作を「ACCA13区監察課」のマッドハウス、キャラクター原案を同作の原作者であるオノ・ナツメが担当した。

日本初お披露目を迎えた堀田は、「それぞれの心に委ねられるような作品。そんな余白を楽しみながらご覧いただけたら」と笑顔を見せた。夏目監督が手がけた脚本を読んだ際には、「とても独創的な世界観で、想像力豊かな脚本」と魅了されたという。「実際にはない世界線なんですが、そこに生きる登場人物たちがとても人間らしくて、普遍的で。いろいろなものを考えさせられた」そうで、「この力強い脚本に、お芝居が負けていられないなと感じました」と大いに刺激を受けた様子だ。羊文学の河西も「読んだ後の余韻がすごかった」と続き、「カフェで、二人で何時間も『このセリフは、どういうことを言っているんだろう』、『この世界線の人たちはどんな気持ちで過ごしているんだろう』とすごく話しました」と塩塚と顔を見合わせながら、当時を振り返っていた。

主人公のニケの印象について、堀田は「自分自身の居場所を探している。周りの人とは分かち合えない孤独さを抱えている少女」と紹介。アフレコでは、監督から「あまり感情を乗せないようにお芝居をしてほしい」というオーダーがあったと明かした。「普段は映像のお芝居をしているんですが、映像の世界だと、そこの感情や空気のまとい方、機微みたいなことを一番に考えて演じている。今回はできるだけ、感情を抜く。なんならもう、『棒読みで読んでほしい』と言われて。感情をなくすという作業が初めてだったので、とても悩みながらでしたが、楽しく挑戦させていただきました」と新境地に充実感をにじませ、「何度も、『もっとクールに、ダークに』と言われ続けていました。私は関西人なので、イントネーション問題についても、シビアにご指導いただいた」と語っていた。

羊文学は、主題歌と挿入歌の合計6曲を、本作のために書き下ろした。10代の頃の自分とニケが重なると打ち明けた塩塚は、「まだ完成していない映像が届いていたので、それに合わせてイメージを膨らませていくのがすごく楽しかったです」と制作過程を述懐する。

堀田はもともと羊文学の楽曲が大好きだといい、「コラボレーションできることが、とてもうれしかった」と喜びを口にした。「音楽の力は偉大。アニメーションの表情や声のお芝居だけではない、余白の部分を底上げしてくれるパワーがある。羊文学さんの音楽には、言葉にならない部分をそっとなぞってくれるような、不思議なパワーがある。特に、主題歌がものすごくよくて。ぜひエンドロールが終わるまで、しっかり観ていただきたい。最後のフレーズが、おしゃれで、カッコよくて……」と羊文学の魅力について熱弁が止まらない。

一方、塩塚も「今の感じと全然違いますよね」と劇中のニケと実際に対面した堀田とのギャップに驚きながら、「ニケの気持ちって、ひとつに定まらない。心の奥底では、人に言えないものを抱えていたりする。映像と合わさった時に、一言一言からいろいろなものが伝わってステキでした」と堀田の熱演に惚れ惚れ。「存在感がすごくて」と切り出した河西も、「ニケの気持ちは、表面上だけではわからないことがある。感情を無にしてアフレコをしたのに、その部分まで伝わる。すごいなと思いました。あと声の低音がカッコよくて、気持ちよくて。ドキドキしました」と照れ笑いをのぞかせつつ、お互いをリスペクトし合っていた。
新着ニュース