第39回東京国際映画祭のNippon Cinema Now部門に出品されたドキュメンタリー映画『
プラスチック・ラブ!』が10月30日、角川シネマ有楽町でワールドプレミアを迎えた。上映後のQ&Aには、シビラ・パトリチア監督、クレメンタイン・ナット監督と、出演者で座間市クリーンセンターの佐藤大輔、編集を担当した井手麻里子、音楽を手がけた加藤久貴が登壇。佐藤は廃棄物を扱う現場から、子どもたちとごみをつなぐ活動や、不要になったものを次の使い手へ届ける取り組みを紹介した。
本作は、日本の廃棄物処理に携わる人々や、素材と向き合う包装職人たちを訪ね、使い捨てプラスチックへの依存を見つめるドキュメンタリー。「包む」という日本の文化をたどりながら、私たちが何を捨て、何を大切にするのかを問いかける。
佐藤は冒頭、「まず、この場をお借りして、シビラさん、クレメンタインさんにお礼を言いたいと思います」と監督2人に感謝。「我々、廃棄物を扱う者を取り上げていただいたことを、大変ありがたく思います。本当にありがとうございました」と思いを口にした。
座間市での活動と今後の展望を聞かれると、佐藤がまず挙げたのは、子どもたちへの啓発活動だった。自治体の職員として市民に呼びかける際には、どうしても「お願いします」と要請する形になりがちだったと振り返る。そこで考えたのが、自分たちの捨てるごみに子どもが楽しく触れ、関心を持てる機会をつくることだった。
背景には、ごみに向けられるイメージへの問題意識がある。「汚いとか、臭いとか、そういったマイナスイメージが、とても自分は嫌で」と打ち明けた佐藤は、その印象のままでは、子どもたちに環境問題への関心を持ってもらうことも難しいと考えた。大人からお願いを重ねるだけでなく、楽しさを入り口に、自ら興味を持ってもらうための工夫を続けている。
クリーンセンターの職員たちは、子どもが喜ぶ遊びのコンテンツを考え、キャップアートなどにも取り組んできた。佐藤は「誰が見ても笑顔になるアートを作ったり、子どもとつながるコンテンツをたくさん作っている」と活動を紹介。この日も職員が市内の保育園へ出向いているといい、「きっと、子どもたちと楽しく環境について学んでいると思っています」と、会場にいない仲間の活動にも触れた。
さらに、使わなくなった子ども服を、まだ必要としている子どもへ届ける取り組みも始めている。映画に登場する焼却場の映像にも言及し、不要になったものをただ捨てるのではなく、「別のレールに乗せてあげる」ことが大切だと強調した。「いらなくなったものを簡単に廃棄するのではなく、誰かにつなげていく。心がある取り組みだなと思う」と意義を語り、今後も大切にしながら活動を広げていく意向を示した。
パトリチア監督は「7年にわたってこの作品を作ってきたんですが、きょうワールドプレミアを皆さんと一緒に楽しめることがワクワクで、感謝でいっぱいです」と、観客と初上映を迎えた喜びを伝えた。ナット監督も「今回の映画で取り上げた課題について、目を向けていただくことがうれしい限りです」と来場者に感謝。会場からは、プラスチックが生活や企業活動のあらゆる場面で使われている中、その大量生産・消費をどう止めればいいのか、7年間の制作を通じて答えは見つかったのか、と問いが寄せられた。
パトリチア監督は、本作について「プラスチックが主人公ではなくて、世界とのつながりを失ってしまったんじゃないか、というメッセージでもある」と応じた。そのうえで、リサイクルやクリーンアップ活動は大切で、続けるべきだとしながら、まずはそれ以前の段階に目を向けた。新しいものが新たなごみになるのを、どうすれば防げるのか。捨てた後の対処とともに、ごみを生み出す手前で考える必要性を示した。
次に目を向けたのは、物が生まれ、使われ、捨てられるまでのつながりだ。木が育つには時間がかかるにもかかわらず、人は手にしたものを一瞬使っただけで捨ててしまうことがある。監督は「捨てる前に考えてほしい」と呼びかけ、廃棄した後にも多くの人の手や工程を経ていくことを指摘。「この映画を見た皆さんは、一旦冷静になって、捨てた後に何人の人が関わるんだろうって考えてほしい」と想像を広げるよう促した。
そして、自分の暮らすコミュニティーや職場で、実際にできることを考える大切さにも言及。マイボトルやエコバッグといった身近な例を挙げながら、大きな問題のまま捉えると圧倒されてしまうからこそ、「できることに分解することが大切だと思います」と伝えた。すべてを一度に変えようとするのではなく、人と物、捨てる行為とその後の工程がつながっていると意識することを、最初の一歩に挙げた。
最後にパトリチア監督は、画面に登場する人々だけでなく、100人以上のボランティアらが作品を支えてくれたと紹介。「私たちだけではないことをご理解いただきたい。こうやって皆さんと、こういった日を迎えられたことがうれしい限りです」と、制作に関わった人々と観客への感謝を重ねた。
ナット監督は「この映画は、もともと私たち2人がいろいろな素材に対して興味があって、そこから始まった旅なんです」と作品の原点を回想し、「いろいろな愛を感じました。ありがとうございました」と締めくくった。『プラスチック・ラブ!』は、2027年春にヒューマントラストシネマ有楽町・渋谷ほか全国で順次公開される。
第39回東京国際映画祭のNippon Cinema Now部門に出品されたドキュメンタリー映画『
プラスチック・ラブ!』が10月30日、角川シネマ有楽町でワールドプレミアを迎えた。上映後のQ&Aには、シビラ・パトリチア監督、クレメンタイン・ナット監督と、出演者で座間市クリーンセンターの佐藤大輔、編集を担当した井手麻里子、音楽を手がけた加藤久貴が登壇。佐藤は廃棄物を扱う現場から、子どもたちとごみをつなぐ活動や、不要になったものを次の使い手へ届ける取り組みを紹介した。
本作は、日本の廃棄物処理に携わる人々や、素材と向き合う包装職人たちを訪ね、使い捨てプラスチックへの依存を見つめるドキュメンタリー。「包む」という日本の文化をたどりながら、私たちが何を捨て、何を大切にするのかを問いかける。
佐藤は冒頭、「まず、この場をお借りして、シビラさん、クレメンタインさんにお礼を言いたいと思います」と監督2人に感謝。「我々、廃棄物を扱う者を取り上げていただいたことを、大変ありがたく思います。本当にありがとうございました」と思いを口にした。
座間市での活動と今後の展望を聞かれると、佐藤がまず挙げたのは、子どもたちへの啓発活動だった。自治体の職員として市民に呼びかける際には、どうしても「お願いします」と要請する形になりがちだったと振り返る。そこで考えたのが、自分たちの捨てるごみに子どもが楽しく触れ、関心を持てる機会をつくることだった。
背景には、ごみに向けられるイメージへの問題意識がある。「汚いとか、臭いとか、そういったマイナスイメージが、とても自分は嫌で」と打ち明けた佐藤は、その印象のままでは、子どもたちに環境問題への関心を持ってもらうことも難しいと考えた。大人からお願いを重ねるだけでなく、楽しさを入り口に、自ら興味を持ってもらうための工夫を続けている。
クリーンセンターの職員たちは、子どもが喜ぶ遊びのコンテンツを考え、キャップアートなどにも取り組んできた。佐藤は「誰が見ても笑顔になるアートを作ったり、子どもとつながるコンテンツをたくさん作っている」と活動を紹介。この日も職員が市内の保育園へ出向いているといい、「きっと、子どもたちと楽しく環境について学んでいると思っています」と、会場にいない仲間の活動にも触れた。
さらに、使わなくなった子ども服を、まだ必要としている子どもへ届ける取り組みも始めている。映画に登場する焼却場の映像にも言及し、不要になったものをただ捨てるのではなく、「別のレールに乗せてあげる」ことが大切だと強調した。「いらなくなったものを簡単に廃棄するのではなく、誰かにつなげていく。心がある取り組みだなと思う」と意義を語り、今後も大切にしながら活動を広げていく意向を示した。
パトリチア監督は「7年にわたってこの作品を作ってきたんですが、きょうワールドプレミアを皆さんと一緒に楽しめることがワクワクで、感謝でいっぱいです」と、観客と初上映を迎えた喜びを伝えた。ナット監督も「今回の映画で取り上げた課題について、目を向けていただくことがうれしい限りです」と来場者に感謝。会場からは、プラスチックが生活や企業活動のあらゆる場面で使われている中、その大量生産・消費をどう止めればいいのか、7年間の制作を通じて答えは見つかったのか、と問いが寄せられた。
パトリチア監督は、本作について「プラスチックが主人公ではなくて、世界とのつながりを失ってしまったんじゃないか、というメッセージでもある」と応じた。そのうえで、リサイクルやクリーンアップ活動は大切で、続けるべきだとしながら、まずはそれ以前の段階に目を向けた。新しいものが新たなごみになるのを、どうすれば防げるのか。捨てた後の対処とともに、ごみを生み出す手前で考える必要性を示した。
次に目を向けたのは、物が生まれ、使われ、捨てられるまでのつながりだ。木が育つには時間がかかるにもかかわらず、人は手にしたものを一瞬使っただけで捨ててしまうことがある。監督は「捨てる前に考えてほしい」と呼びかけ、廃棄した後にも多くの人の手や工程を経ていくことを指摘。「この映画を見た皆さんは、一旦冷静になって、捨てた後に何人の人が関わるんだろうって考えてほしい」と想像を広げるよう促した。
そして、自分の暮らすコミュニティーや職場で、実際にできることを考える大切さにも言及。マイボトルやエコバッグといった身近な例を挙げながら、大きな問題のまま捉えると圧倒されてしまうからこそ、「できることに分解することが大切だと思います」と伝えた。すべてを一度に変えようとするのではなく、人と物、捨てる行為とその後の工程がつながっていると意識することを、最初の一歩に挙げた。
最後にパトリチア監督は、画面に登場する人々だけでなく、100人以上のボランティアらが作品を支えてくれたと紹介。「私たちだけではないことをご理解いただきたい。こうやって皆さんと、こういった日を迎えられたことがうれしい限りです」と、制作に関わった人々と観客への感謝を重ねた。
ナット監督は「この映画は、もともと私たち2人がいろいろな素材に対して興味があって、そこから始まった旅なんです」と作品の原点を回想し、「いろいろな愛を感じました。ありがとうございました」と締めくくった。『プラスチック・ラブ!』は、2027年春にヒューマントラストシネマ有楽町・渋谷ほか全国で順次公開される。