第39回東京国際映画祭の「Nippon Cinema Now」に出品された『
火の玉を見た』が10月30日、角川シネマ有楽町で公式上映され、矢座孟之進監督をはじめ、俳優の大西利空、伊礼姫奈がQ&A登壇し、観客からの質問に答えた。
高校生のタケシは、両親が離婚の危機で揺れるなか、幼なじみのアカリと再会する。アカリは彼に「火の玉を見た」という不思議な話を告げる。家族の問題から逃れるようにして、タケシは火の玉を探し始めるのだが……。
オリジナルストーリーで臨んだ矢座監督は、企画の発端について「今回の映画は僕の実体験なんです」と切り出すと「僕が高校1年生の時に両親が離婚しているのですが、それと同じタイミングで火の玉を見て、その火の玉を探しに行ったという実体験から始まっています」と語る。
脚本を書いたのは大学3年生のときだと明かし「それまで大学で色々な短編を撮っていたのですが、撮っていた短編は毎回同じような構成を持っていました。それは、現実で問題を抱えた主人公が、空想上の楽園のようなものを追いかけて現実から逃げていくようなものでした。あるとき「これは自分の過去についての映画を撮ろうとしているのではないか」と気づき、直接それを映画にすべきだと思ったんです」と説明した。
主人公のタケシを演じた大西は「ストーリーがわかりやすく起伏に富んでいるわけではなく、人の感情が表に出る場面がすごく少ない作品なので、淡々と話す中で表現するというのはすごく苦労しました」と役作りについて述べると「ただ、撮影に入る前に監督と僕、そして家族役の4人で集まって本読みをしました。普段あまり淡々と話す演技をやってこなかったので、そこで練習というか、事前に少し触れておけたことによって、現場ではすごくやりやすかったという印象があります」と充実感を滲ませる。
初長編作品に挑んだ矢座監督は、「非常に独特な世界観の作品。役者やスタッフとどのようにビジョンを共有したのか?」と質問されると「一番気をつけていたのは、僕自身が頭の中にすべて絵を組み上げてしまっていることが、周囲にバレないようにするということだったかもしれません。映画は生ものですし、現場で作っていく自由度をいかに保つかということも監督としては重要だと思っています。僕は長編が初めてで、そこまで器用ではなかったのですが、現場でキャストの皆さんに自分のやりたいことを押し付けすぎない、意図を見せすぎないようにすることはすごく意識していました」と語る。
そんな矢座監督の言葉に大西は「(監督の意図は)分かりやすかったですよ」と笑うと「僕は分からないことがあったら聞いてしまうタイプ。その際、分かりづらいかなという質問をしても、監督からはすぐに答えが返ってきました。頭の中がすごく整理されているなと感じていました。監督の意図を隠す必要はないと思います」と理路整然と演出を行う矢座監督に全幅の信頼を寄せていた。
また、伊礼も「オーディションの時から「監督の頭の中をのぞきたい」と思うほど独特な世界観で、難しいなと感じていました」と振り返りつつ、「撮影中は直接細かく言われるというより、気づいたらその世界に導かれていた感覚。完成した作品を観て、しっかり映画として成立していたことに驚きました」と監督の手腕を称えていた。
すでに3度映画を観たという観客から「こだわりのシーン」を聞かれた矢座監督は「監督としては全シーンにこだわって作っているので、どれか1つを挙げるのは難しいのですね」と苦笑いを浮かべると「映画はどうしても視覚に目が行きがちですが、今作は音にもすごくこだわっています。この前、大きい劇場で初めて観た時に、環境音がこの映画の世界をしっかりと形作ってくれていると実感しました」と語り、映像のみならず緻密に設計された音響への注目も呼びかけていた。
第39回東京国際映画祭は、11月4日まで開催。
第39回東京国際映画祭の「Nippon Cinema Now」に出品された『
火の玉を見た』が10月30日、角川シネマ有楽町で公式上映され、矢座孟之進監督をはじめ、俳優の大西利空、伊礼姫奈がQ&A登壇し、観客からの質問に答えた。
高校生のタケシは、両親が離婚の危機で揺れるなか、幼なじみのアカリと再会する。アカリは彼に「火の玉を見た」という不思議な話を告げる。家族の問題から逃れるようにして、タケシは火の玉を探し始めるのだが……。
オリジナルストーリーで臨んだ矢座監督は、企画の発端について「今回の映画は僕の実体験なんです」と切り出すと「僕が高校1年生の時に両親が離婚しているのですが、それと同じタイミングで火の玉を見て、その火の玉を探しに行ったという実体験から始まっています」と語る。
脚本を書いたのは大学3年生のときだと明かし「それまで大学で色々な短編を撮っていたのですが、撮っていた短編は毎回同じような構成を持っていました。それは、現実で問題を抱えた主人公が、空想上の楽園のようなものを追いかけて現実から逃げていくようなものでした。あるとき「これは自分の過去についての映画を撮ろうとしているのではないか」と気づき、直接それを映画にすべきだと思ったんです」と説明した。
主人公のタケシを演じた大西は「ストーリーがわかりやすく起伏に富んでいるわけではなく、人の感情が表に出る場面がすごく少ない作品なので、淡々と話す中で表現するというのはすごく苦労しました」と役作りについて述べると「ただ、撮影に入る前に監督と僕、そして家族役の4人で集まって本読みをしました。普段あまり淡々と話す演技をやってこなかったので、そこで練習というか、事前に少し触れておけたことによって、現場ではすごくやりやすかったという印象があります」と充実感を滲ませる。
初長編作品に挑んだ矢座監督は、「非常に独特な世界観の作品。役者やスタッフとどのようにビジョンを共有したのか?」と質問されると「一番気をつけていたのは、僕自身が頭の中にすべて絵を組み上げてしまっていることが、周囲にバレないようにするということだったかもしれません。映画は生ものですし、現場で作っていく自由度をいかに保つかということも監督としては重要だと思っています。僕は長編が初めてで、そこまで器用ではなかったのですが、現場でキャストの皆さんに自分のやりたいことを押し付けすぎない、意図を見せすぎないようにすることはすごく意識していました」と語る。
そんな矢座監督の言葉に大西は「(監督の意図は)分かりやすかったですよ」と笑うと「僕は分からないことがあったら聞いてしまうタイプ。その際、分かりづらいかなという質問をしても、監督からはすぐに答えが返ってきました。頭の中がすごく整理されているなと感じていました。監督の意図を隠す必要はないと思います」と理路整然と演出を行う矢座監督に全幅の信頼を寄せていた。
また、伊礼も「オーディションの時から「監督の頭の中をのぞきたい」と思うほど独特な世界観で、難しいなと感じていました」と振り返りつつ、「撮影中は直接細かく言われるというより、気づいたらその世界に導かれていた感覚。完成した作品を観て、しっかり映画として成立していたことに驚きました」と監督の手腕を称えていた。
すでに3度映画を観たという観客から「こだわりのシーン」を聞かれた矢座監督は「監督としては全シーンにこだわって作っているので、どれか1つを挙げるのは難しいのですね」と苦笑いを浮かべると「映画はどうしても視覚に目が行きがちですが、今作は音にもすごくこだわっています。この前、大きい劇場で初めて観た時に、環境音がこの映画の世界をしっかりと形作ってくれていると実感しました」と語り、映像のみならず緻密に設計された音響への注目も呼びかけていた。
第39回東京国際映画祭は、11月4日まで開催。