第39回東京国際映画祭のコンペティション部門に選出された『
腹喜(フーシー) 四つの饗宴奇譚』が10月29日、東京・千代田区のヒューリックホール東京で公式上映され、チウ・ジョンジョン監督、リー・カンション、リー・ホンチー、アニー・チェン、ワン・ハイがQ&Aに登壇した。
デビュー作『椒麻堂会』(21)でロカルノ国際映画祭審査員特別賞に輝いたチウ監督の長編第2作となる本作は、中国四川省の食文化と奇譚を軸に、4000年にわたる人間の生と死、記憶、祝祭を描く。古代中国の村の葬儀や、王の帰還を祝う宴など、四つの饗宴をめぐって物語が展開する。とりわけ第3部では、「東坡肉(トンポーロー)」を考案したとされる宋代の詩人・蘇軾(そしょく/蘇東坡)に焦点が当てられる。朝廷との軋轢から幾度も僻地へ左遷されながら、その地で新たな料理を生み出していく詩人の姿が、物語の重要な鍵となっている。
チウ監督は、本作の企画を始めたのは新型コロナウイルスの感染拡大が続いていた2022年だったと振り返った。出発点となったのは、監督自身がルーツを持つ四川省の家族史や個人史、そして人々の日常生活の歴史だったという。身近な人々の暮らしや、その土地に根差した個々の経験を描くことから始め、それらをより大きな歴史の枠組みへと広げていくことを考えたと説明した。家族や個人の日常を出発点に、人間の生命と歴史を長い時間の流れのなかで捉えるという構想が、4000年という時間軸を持つ本作へとつながった。
観客からは、劇中に登場する料理や、撮影現場での食事についても質問が寄せられた。食を重要な題材とする本作では、料理そのものが現場の経験の一部となっていたという。登壇者たちは、チウ監督が撮影現場で料理を用意し、出演者たちに振る舞っていたこと、実際に食事を楽しみながら撮影に臨んだことを振り返った。ワン・ハイは、撮影現場では食事をする機会が多く、撮影期間中に体重が約6キロ増えたと明かした。劇中の食文化だけでなく、撮影現場での食事もまた、登壇者たちにとって印象深い経験となったようだ。
さらに、登場人物の髪型や身体的な造形についても質問があった。劇中に現れる三つ編みのおさげや尻尾といった特徴的な造形を、どのような意図で取り入れたのかについて、チウ監督は、祭祀にあたって犠牲を捧げ、祖先に奉献するという発想に触れ、こうした設定は本作のために創作したフィクションでありながら、それぞれの形に人物の感情や生命のイメージを込めたと説明した。三つ編みのおさげは、喜びや悲しみといった人物の内面の動きを表すものだという。また尻尾については、食べることによって生命をつなぎ、次の世代へと命を受け渡していくという発想から取り入れたと述べ、身体の一部を通して生命の継承を表現するという考えを紹介した。
第39回東京国際映画祭は11月4日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。
第39回東京国際映画祭のコンペティション部門に選出された『
腹喜(フーシー) 四つの饗宴奇譚』が10月29日、東京・千代田区のヒューリックホール東京で公式上映され、チウ・ジョンジョン監督、リー・カンション、リー・ホンチー、アニー・チェン、ワン・ハイがQ&Aに登壇した。
デビュー作『椒麻堂会』(21)でロカルノ国際映画祭審査員特別賞に輝いたチウ監督の長編第2作となる本作は、中国四川省の食文化と奇譚を軸に、4000年にわたる人間の生と死、記憶、祝祭を描く。古代中国の村の葬儀や、王の帰還を祝う宴など、四つの饗宴をめぐって物語が展開する。とりわけ第3部では、「東坡肉(トンポーロー)」を考案したとされる宋代の詩人・蘇軾(そしょく/蘇東坡)に焦点が当てられる。朝廷との軋轢から幾度も僻地へ左遷されながら、その地で新たな料理を生み出していく詩人の姿が、物語の重要な鍵となっている。
チウ監督は、本作の企画を始めたのは新型コロナウイルスの感染拡大が続いていた2022年だったと振り返った。出発点となったのは、監督自身がルーツを持つ四川省の家族史や個人史、そして人々の日常生活の歴史だったという。身近な人々の暮らしや、その土地に根差した個々の経験を描くことから始め、それらをより大きな歴史の枠組みへと広げていくことを考えたと説明した。家族や個人の日常を出発点に、人間の生命と歴史を長い時間の流れのなかで捉えるという構想が、4000年という時間軸を持つ本作へとつながった。
観客からは、劇中に登場する料理や、撮影現場での食事についても質問が寄せられた。食を重要な題材とする本作では、料理そのものが現場の経験の一部となっていたという。登壇者たちは、チウ監督が撮影現場で料理を用意し、出演者たちに振る舞っていたこと、実際に食事を楽しみながら撮影に臨んだことを振り返った。ワン・ハイは、撮影現場では食事をする機会が多く、撮影期間中に体重が約6キロ増えたと明かした。劇中の食文化だけでなく、撮影現場での食事もまた、登壇者たちにとって印象深い経験となったようだ。
さらに、登場人物の髪型や身体的な造形についても質問があった。劇中に現れる三つ編みのおさげや尻尾といった特徴的な造形を、どのような意図で取り入れたのかについて、チウ監督は、祭祀にあたって犠牲を捧げ、祖先に奉献するという発想に触れ、こうした設定は本作のために創作したフィクションでありながら、それぞれの形に人物の感情や生命のイメージを込めたと説明した。三つ編みのおさげは、喜びや悲しみといった人物の内面の動きを表すものだという。また尻尾については、食べることによって生命をつなぎ、次の世代へと命を受け渡していくという発想から取り入れたと述べ、身体の一部を通して生命の継承を表現するという考えを紹介した。
第39回東京国際映画祭は11月4日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。