第39回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門出品作『
The Blood Countess(英題)』が11月2日上映され、ウルリケ・オッティンガー監督がQ&Aに登壇した。
イザベル・ユペールを主演に迎え、『血の伯爵夫人』の伝説を大胆に再構築し、ブラックユーモアと退廃的な美しさに満ちた映像で描かれた奇想天外なバンパイア映画。
謎の失踪から数十年後、バートリ伯爵夫人は現代のウィーンに姿を現す。彼女は忠実な召使いヘルミーネ、菜食主義者の甥のブービ、心理療法士を仲間に加え、吸血鬼を滅ぼす力を持つ危険な一冊の書物を探し始める。ウィーンで血を抜かれる殺人事件が多発とニュースになり、吸血鬼研究家と警官が、バートリ伯爵夫人を追う……という物語。
上映後の数多くの観客を前にしたオッティンガー監督は、「この映画を見終わった皆さんがまだ生きてらっしゃって、嬉しく思います」とジョークを交えて挨拶。まず、企画の経緯とインスピレーションを問われると、「1998年頃に脚本の執筆を開始しました。ベルリンからプラハ、ウィーンへの旅行をきっかけに、ウィーンの豊かな建築や歴史、そしてウィーンの死や死後の儀式に対する独特の文化が吸血鬼の物語に最適だと感じ、バンパイア映画のジャンルを利用して新しい作品を作ろうと考えました」と明かす。
共同脚本として、オーストリアの小説家、劇作家のエルフリーデ・イェリネクがクレジットされており、役割分担については「旅の後、私自身が脚本を全部書き上げました。エルフリーデは長年の友人で、彼女に脚本を送り、会話やセリフを見て、よりウィーンの雰囲気が出るような言葉、表現に変えてほしいと依頼したのです。彼女からは、タペストリーのように紡がれた膨大な言葉のアイデアが届き、それを参考に、セリフの変更や書き換えを行ってよりシャープに仕上げました」と説明した。
バートリ伯爵夫人を演じたのはイザベル・ユペールだが、当初の企画では、ティルダ・スウィントンがバートリ伯爵、ユペールが召使いという構想だった。しかし、資金集めに難航し、2度頓挫した後、十分な資金が集まって映画化が実現したものの、当初のキャストが年齢を重ねていたことなどの理由から配役を変更し、最終的にユペールが伯爵夫人役を演じることになったと、キャスティングの経緯を語る。「彼女は今までこのようなアイコニックな役を演じたことがなく、より内面的な表現をする俳優なので、不安もあった」と明かすも、「でも彼女がぜひやりたいと言ってくれたので、初めて演じてもらったのです。そうしたところ、アメリカやヨーロッパ各地のメディアから「なぜ今までイザベル・ユペールをバンパイア役に誰もキャスティングしなかったんだ!」と言われるほど、はまり役になりました」とその選択を喜んだ。
男性吸血鬼が若い女性の血を吸う、という展開のバンパイア映画が多い中、本作はバートリ伯爵夫人が、若い女性の血を吸うという設定になっている。その理由を問われると、「ご存知の通り、私の作品には、非常に力強い女性たちがたくさん登場しています。フランスの女優ではデルフィーヌ・セリッグも私の過去作に出演しています。普通ではないことを描く場合、その極端な状況を表現した方がそのストーリー、作品として面白く見えると思うんです。若い女性の血を吸うことも、それはバートリー伯爵夫人自身が下した決断なのです」と回答した。
中世の趣を残すウィーンの街並みや歴史的建築と、エレベーターや遊園地など現代的な場所を巧みに取り入れた本作のロケーションについては、「吸血鬼は過去、現在、未来を生きるので、主人公が中世と現代を行き来しているという意味では、ウィーンの街が、伯爵夫人の歴史と掛け合わせることがぴったりだと思ったんですね。あとは、永遠に生きたいと願う富裕層がおり、最近は、お金をかけて肉体改造をして若返りや不老不死を手に入れようする、そんな傾向がありますよね。脚本を書き換えている時、それって吸血鬼と一緒じゃないか、とふと気づいたんです。そうした現代社会への風刺的な視点も作品に反映させています」と語った。
第39回東京国際映画祭は11月4日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。
第39回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門出品作『
The Blood Countess(英題)』が11月2日上映され、ウルリケ・オッティンガー監督がQ&Aに登壇した。
イザベル・ユペールを主演に迎え、『血の伯爵夫人』の伝説を大胆に再構築し、ブラックユーモアと退廃的な美しさに満ちた映像で描かれた奇想天外なバンパイア映画。
謎の失踪から数十年後、バートリ伯爵夫人は現代のウィーンに姿を現す。彼女は忠実な召使いヘルミーネ、菜食主義者の甥のブービ、心理療法士を仲間に加え、吸血鬼を滅ぼす力を持つ危険な一冊の書物を探し始める。ウィーンで血を抜かれる殺人事件が多発とニュースになり、吸血鬼研究家と警官が、バートリ伯爵夫人を追う……という物語。
上映後の数多くの観客を前にしたオッティンガー監督は、「この映画を見終わった皆さんがまだ生きてらっしゃって、嬉しく思います」とジョークを交えて挨拶。まず、企画の経緯とインスピレーションを問われると、「1998年頃に脚本の執筆を開始しました。ベルリンからプラハ、ウィーンへの旅行をきっかけに、ウィーンの豊かな建築や歴史、そしてウィーンの死や死後の儀式に対する独特の文化が吸血鬼の物語に最適だと感じ、バンパイア映画のジャンルを利用して新しい作品を作ろうと考えました」と明かす。
共同脚本として、オーストリアの小説家、劇作家のエルフリーデ・イェリネクがクレジットされており、役割分担については「旅の後、私自身が脚本を全部書き上げました。エルフリーデは長年の友人で、彼女に脚本を送り、会話やセリフを見て、よりウィーンの雰囲気が出るような言葉、表現に変えてほしいと依頼したのです。彼女からは、タペストリーのように紡がれた膨大な言葉のアイデアが届き、それを参考に、セリフの変更や書き換えを行ってよりシャープに仕上げました」と説明した。
バートリ伯爵夫人を演じたのはイザベル・ユペールだが、当初の企画では、ティルダ・スウィントンがバートリ伯爵、ユペールが召使いという構想だった。しかし、資金集めに難航し、2度頓挫した後、十分な資金が集まって映画化が実現したものの、当初のキャストが年齢を重ねていたことなどの理由から配役を変更し、最終的にユペールが伯爵夫人役を演じることになったと、キャスティングの経緯を語る。「彼女は今までこのようなアイコニックな役を演じたことがなく、より内面的な表現をする俳優なので、不安もあった」と明かすも、「でも彼女がぜひやりたいと言ってくれたので、初めて演じてもらったのです。そうしたところ、アメリカやヨーロッパ各地のメディアから「なぜ今までイザベル・ユペールをバンパイア役に誰もキャスティングしなかったんだ!」と言われるほど、はまり役になりました」とその選択を喜んだ。
男性吸血鬼が若い女性の血を吸う、という展開のバンパイア映画が多い中、本作はバートリ伯爵夫人が、若い女性の血を吸うという設定になっている。その理由を問われると、「ご存知の通り、私の作品には、非常に力強い女性たちがたくさん登場しています。フランスの女優ではデルフィーヌ・セリッグも私の過去作に出演しています。普通ではないことを描く場合、その極端な状況を表現した方がそのストーリー、作品として面白く見えると思うんです。若い女性の血を吸うことも、それはバートリー伯爵夫人自身が下した決断なのです」と回答した。
中世の趣を残すウィーンの街並みや歴史的建築と、エレベーターや遊園地など現代的な場所を巧みに取り入れた本作のロケーションについては、「吸血鬼は過去、現在、未来を生きるので、主人公が中世と現代を行き来しているという意味では、ウィーンの街が、伯爵夫人の歴史と掛け合わせることがぴったりだと思ったんですね。あとは、永遠に生きたいと願う富裕層がおり、最近は、お金をかけて肉体改造をして若返りや不老不死を手に入れようする、そんな傾向がありますよね。脚本を書き換えている時、それって吸血鬼と一緒じゃないか、とふと気づいたんです。そうした現代社会への風刺的な視点も作品に反映させています」と語った。
第39回東京国際映画祭は11月4日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。