2026.10.31 [イベントレポート]
沖縄系ブラジル移民が“ウチナーンチュ”のアイデンティティを発見する『オキナワ・サウダージ』公式上映

第39回東京国際映画祭が開催中の角川シネマ有楽町で10月31日、「Nippon Cinema Now」に出品されている『オキナワ・サウダージ』が公式上映された。上映後には、松林要樹監督、出演する新城エヴェルトンが観客とのQ&Aに応じた。

松林監督は、ドキュメンタリー映画監督、プロデューサーとして、国内外の社会問題や歴史、アイデンティティをテーマに、長期取材を重ねたドキュメンタリー作品を制作している。前作『オキナワ サントス』(2020)は、1943年7月8日にブラジル・サントスで起きた「日系移民強制退去事件」を題材に、大きな注目を浴び、24年7月のブラジル政府による正式謝罪を導くきっかけにもなった。

そして、『オキナワ・サウダージ』では、100年を超える歴史を持つ沖縄系ブラジル移民の子孫たちが沖縄へ里帰りし、親族たちと出会い、歴史や文化に触れてゆく。

本作では“もう1つのルーツ探し”をテーマに、沖縄とブラジル両国で撮影を敢行。松林監督は「10年前から構想し、映画が完成した」と感無量の面持ちを浮かべ、会場に駆け付けた関係者や支援者に感謝の言葉。ブラジルでの撮影も「スムーズだった」と振り返る一方で、貧民街として知られるファベーラで撮影したシーンについて、取材対象者の安全を最優先に「最終的にはカットした」と苦労も明かした。

それぞれのルーツを探しつつ、今もブラジルに残る人々と繋ぐ役割も担う移民たちは、沖縄での滞在中、何を発見し、獲得していくのか。旅の過程で発見した“ウチナーンチュ”のアイデンティティを、彩り豊かに描いた。

松林監督が、新城エヴェルトンと出会ったのは、ブラジル沖縄県人会のイベントサポートや、沖縄文化を継承するためワークショップや展示会などを行う「うりずん会」OBの紹介だといい、「おじいさん、おばあさん、お父さんもサントスの強制退去事件に遭遇していた」そうだ。

新城エヴェルトンは本作への出演を「歴史を知るため、沖縄に行くことは、ルーツとのつながりを取り戻す貴重な機会だった」と語り、「エイサーという琉球文化を共有することで、アイデンティティが形づくられることも深く感じた。ルーツは過去にあるだけではなく、いま築いている人間関係に受け継がれている」と思いをはせていた。

第39回東京国際映画祭は、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。「Nippon Cinema Now」は本年よりコンペティション化されており、最終日(11月4日)に、受賞結果が発表される。
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