2026.10.27 [イベントレポート]
『KEFI』齋藤喜進監督、ギリシャ語のタイトルの理由はあの名監督!

第39回東京国際映画祭で10月27日、Nippon Cinema Now部門に出品されている『KEFI(ケフィ)』が上映され、本作で長編デビューを飾った齋藤喜進監督によるQ&Aが行われた。

福井県を舞台に展開する“ブラックラヴコメディ”。父の死をきっかけに再会した三姉妹とその周囲の人々の奇妙な人間模様が描き出される。この日の司会を務めた映画祭の市山尚三プログラミング・ディレクターから、本作がアメリカのエンタメ系メディア「インディーワイヤー(IndieWire)」が発表する今年の東京国際映画祭で「見るべき5本の映画」の1本に、コンペ外から唯一選ばれたことが明かされた。

齋藤監督は本作の着想について「もともと、僕はちょっと変わった映画、「これは何だろう?」と考えるような映画が好きで、その前提で(物語を)考えていきました。撮影時期が決まっていたので、4本の短編をつなぎ合わせて長編にすることにして、そのひとつずつに「倫理感」とか「偽善」といったテーマを考えていきました。映画をつくる上で、自分のことを入れ込んだほうがしっかりしたものになると思い、自分は三兄弟だったので、それを三人姉妹に置き換えて、うちの父親もちょうど一昨年に亡くなったのでその実話も入れつつ、つくりました」と振り返る。

映画を見終えたばかりの観客からは、音楽の使い方が非常に印象的だったとの称賛の声が上がったが、齋藤監督は「僕が映画をつくってきた中で、ほとんどのキャスト、スタッフから「音楽が多い」ということを、散々言われてきたんですけど(苦笑)、断固として音楽を鳴らし続けるっていうのは揺るぎない思いとしてあります。自分の好きな映画が、邦画であれば『ピンポン』のようにSUPERCARの曲をバチバチに使っていたり、洋画で言うと『リトル・ダンサー』でT. Rexの曲をそのまま使っていて、そういうふうにやりたいというのが前面に出ています」と説明する。

『KEFI』という不思議なタイトルの由来についても質問が出たが、齋藤監督は「ギリシャ語で「楽しむ」とか「喜び」といったポジティブな考えを持った生き方という意味があります。なんでギリシャ語から持ってきたかというと、ギリシャのヨルゴス・ランティモス監督が好きなので、「ギリシャ語で良い字面の言葉はないか?」と思ったのと、本当に僕がポジティブな考えを持っていて、映画もやっぱりハッピーエンドで終わりたいという、前向きな姿勢があって、まぁ、この映画を見て前向きの姿勢になれるのか? と思いつつ(笑)、そういう意味を込めて『KEFI』にしました」と説明した。

さらに別の観客からは、この映画からロックな感じと人間の“生々しさ”が感じられたという称賛の声が寄せられた。齋藤監督は「ヘンテコな映画や不思議な映画と言うと、生々しさよりもコメディチックなものをイメージしがちだと思うんですけど、『KEFI』は、単に変な設定で変なことをするのではなく、生々しさや湿っぽさを入れたいと思っていました。変なことを言いますけど、僕は人のことを信用してないし、人間に興味はないけど、人間を撮るのは好きなんです。それは、生きている人間の面白さを感じているからだと思っていて、意識的にそういう生々しさは絶対に描きたいなっていう思いはありました」と作品に込めた思いを語ってくれた。

第39回東京国際映画祭は11月4日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。
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