2026.10.27 [イベントレポート]
倉庫で失われかけた『丹波哲郎の大霊界』が4Kで復活! 三池崇史監督「奇跡の映画」、息子・義隆は「親父、ありがとう」

第39回東京国際映画祭の日本映画クラシックス部門で10月27日、『丹波哲郎の大霊界 死んだらどうなる』の4Kデジタルリマスター版が上映され、トークショーに三池崇史(映画監督)、坂美佐子(プロデューサー)、丹波義隆(主演)、岡安由美子(出演)、村上隆(アーティスト)が出席した。

本作は、原作・企画・原案・脚本・総監督・出演の6役を丹波哲郎自身が務め、「人は死んだらどうなるのか?」という普遍的な問いに、壮大なビジュアルと独自のアプローチで迫った唯一無二のエンターテインメント作品。1989年の公開当時、社会現象を巻き起こす大ヒットを記録し、今なお根強いカルト的人気を誇る。

この日の上映を観客と一緒に鑑賞していたという三池監督は、「改めて観ると、びっくりしますね。すごい映画」と興奮しきり。丹波哲郎の長男で、本作では主演を務めた丹波義隆は「こんなにすばらしい映画だったんだと今、感心しています。親父、ありがとう」と天を仰いだ。霊人キヨ役を演じた岡安も「本当にすばらしかった。いち観客として引き込まれました」とそれぞれが、時を経ても失われることのない本作の輝きを口にした。

本作デジタルリマスター化のきっかけは、“長年、倉庫の奥深くで保管されていた本作のオリジナルネガプリントが、解体・処分される直前の危機に瀕している”、という報せを聞きつけた三池監督が「このまま失わせるわけにはいかない」と立ち上がり、すぐさま関係各所へ強く働きかけたことだという。

丹波哲郎さんの命日に行われた集まりでその報せを聞いたという三池監督は、「大傑作であり、昭和の1ページ。年齢を重ね、時代が変わっても、普遍的なテーマが視点を変えて、新しいものが見えてくる」と本作の魅力を力説。「倉庫代がもったいないから、“捨てちゃおうかな”という話になっているという。それはありえないということで、復活させようと思った」と経緯を振り返り、「奇跡の映画。なんとか生き延びて、今日この場所で観ていただくことができた。少しは自分も役に立つことができたのかなと。丹波さんにはいろいろとお世話になっていたので、ほんの少しだけ恩返しできたのかなと思っています」と感慨をにじませていた。

本作の誕生秘話にはいろいろな逸話があるそうで、丹波義隆は「映画になる10年くらい前から、親父が霊界の映画を作りたいと騒いでいた。みんな、聞いているふりをしていました」と回顧し、会場も大笑い。さらに「入院しても、病室に霊界の本を何十冊と持ち込んでいた。ハワイ旅行に行ってもそう。経験者の方にも話を聞いていた」と霊界を熱心に研究していた父の姿を思い返しながら、「それを父は、わかりやすく説明した。霊界の宣伝マンだと本人は言っていました」と語った。

出演オファーが舞い込んだ時の思い出に触れた岡安は、「「大霊界」だと聞いて、ホラーだと思った」とにっこり。「私はいろいろと見てしまうタイプで、引き寄せるタイプだった。ロケに行っても「出た!」って。妖怪っぽいものを見たり」と霊感が強いタイプだそうで、「あまりにも怖かったので、丹波さんに「引き寄せてしまうかもしれない」とご相談した。そうしたら、大笑いされて。「天上界のすばらしい話だから、そんなものは見なくなる。絶対に大丈夫だ」と自信満々におっしゃられていた。現場に入ったら、本当にピタッと見なくなったんです。守っていただけるようなパワーを感じました」と不思議な体験をしたエピソードを披露していた。

アーティストの村上隆は、本作の4Kリマスター化、および丹波哲郎没後20年を記念して、メインポスタービジュアルを特別に描き下ろした。「「大霊界」を子どものころに浴びた世代」という村上は、三池監督や坂プロデューサーとの縁も重なり、「完全ノーギャラ」で自ら申し出て今回のビジュアルを手がけたとのこと。坂プロデューサーが「ボス(丹波哲郎)は、霊界にお花がいっぱい咲いていると言っていた。村上さんに「お花を描いてください」とお願いした。ただでお願いするような作品ではない。すみません」と申し訳なさそうにすると、村上は「お金に換算すると描きたくなくなるんですが、ただだとやりたくなる」と楽しそうに応じていた。

また三池監督が「繊細なやさしい方でした。新人だろうがなんだろうが、分け隔てなく、同じように接する」、岡安も「本当にやさしい方。女性が大好きで、チャーミングなところもあって。女の子たちがいる大部屋にいらして、みんなで楽しくお話しされていました。とにかくオーラがすごい」と丹波の人柄を懐かしむ場面もあった。息子の義隆は「親父は豪快でした。でも繊細な部分がありました。また大胆なところもありました」と明かしつつ、「『死んだらどうなる』の次は、『死んだらおどろいた!!』という2作目があります。ぜひ三池監督には、「逝ったらこうだった」というのを撮っていただきたい!」と声を大にして希望。三池監督は「丹波さんは本当にすごい。映画を観て感じていただけたと思う。10年単位で観ると、また違う見え方があると思う。生きている間、ときたま思い出して観ていただけたら」と願っていた。

第39回東京国際映画祭は10月26日~11月4日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。
新着ニュース
2026.10.27 [更新/お知らせ]