2026.10.20 [インタビュー]
第39回東京国際映画祭フェスティバル・ナビゲーター 中島健人さん TIFF公式インタビュー

中島健人

©2026 TIFF TIFFラインナップ記者発表会見(10/1)に登壇した中島さん

→ フェスティバル・ナビゲーター就任ニュース
 
第39回東京国際映画祭のフェスティバル・ナビゲーターにお迎えした中島健人さん。
2011年にアイドルグループSexy Zoneの一員としてデビューし、24年にグループ卒業。その後は、ソロアーティストとして活動を開始し、数々の映画やドラマのみならず、大型国際ドラマ「コンコルディア/Concordia」(24)をはじめ、配信系の映画やドラマにも多数出演。
また2020年「第92回アカデミー賞®授賞式」(WOWOW)のリポートで、流暢な英語とあふれる映画愛を披露し大好評。21年からは、同局で映画情報番組「中島健人 映画の旅人」の単独MCを務めている。
 
 
── フェスティバル・ナビゲーター就任の話を聞いたときのお気持ちは?
 
中島健人(以下、中島):昨年「ウーマン・イン・モーション」に参加させていただき、そのアフターパーティーで事務局長の方が、「また来年も関わることができたらいいですね」とおっしゃってくださって。
でも、まさかナビゲーターになれるとは思っていなかったですね。一瞬、「本当に僕でいいのか?」って思いました。ただ僕も、2008年からジュニアで活動してすぐにドラマに出演させていただいていたので、長年、自分が培ってきたものをナビゲーターとしてちゃんと発信できたらいいなと思っています。
 
── 「映画祭」の魅力とは?
 
中島:新たな人生の出会いでしょうか。映画って、観る前と観た後では人生が変わるじゃないですか。考え方や生きる道とか、選ぶ職業とか。
僕自身も映画との出会いによっていろいろ変わってきたし。人との出会いもそうですけど、映画祭の場で上映されている多種多様な作品との出会いは、意外な新しい人生、新しい景色を見せてくれます。イチ観客の目線で言うと、そこが魅力だと思います。
 
── 今年の「映画祭ガイド」をご覧になって、興味を持たれた作品はありましたか?
 
中島:個人的には最初にラブロマンスを求めるクセがあるんですけど、それは置いておくとして、例えば「ガラ・セレクション」部門が気になります。『ベヒモス! 人生の組曲』をちょっと観たいな、と。音楽と愛に満ちた人生と解説に書いてありますが、僕も音楽活動と自分の人生を融合して生きているので、もしかしたらすごくシンパシーを感じられるかなと期待しています。
 
── 海外の監督や俳優との交流を数多く経験してきたなかで、俳優としての刺激やインスピレーションを受けたことは?
 
中島:『ノマドランド』のプロモーションで来日した、クロエ・ジャオ監督にお会いしたのですが、彼女は日本のカルチャー、特にアニメーションが大好きだとおっしゃっていて、僕としては、日本のアニメ文化を誇りに思うべきだと改めて心に刻みました。
また俳優として、海外作品に出演した頃から脚本をより意識するようになりました。
海外ではコライト、複数の脚本家によって脚本が書かれるケースが多いんです。
若い女性や40代の男性などが、それぞれのパートを書いてひとつの作品にしているから、仕上がりがすごく多角的な視点で描かれて面白いなと思ったり。
つまり、そういうことを気にするようになると、セリフの一つひとつのニュアンスや背景を、より深く汲み取るようになってきたような気がします。
 
── ナビゲーターの役割として、映画そのものの魅力を伝え、映画館に人を呼ぶという、映画界全体に対する責任感や使命感はありますか?
 
中島:2020年に『TENET テネット』のプロモーションで来日したクリストファー・ノーラン監督と対談しました。ちょうど、配信のドラマや映画がすごく盛んだった頃なので、ノーラン監督が「僕たちは、映画館を守らなきゃいけないんだ」と、強く言っていたのを覚えています。
当時26歳の僕としては、「そんなにヤバい感じ?」くらいに思っていましたが、今になって考えると、お客さんが映画館に足を運ぶというこのカルチャーは本当に尊いことです。そこで夢が生まれたり、誰かに出会ったり、“没入感”も映画館でしか得られないと痛感するようになりました。
ノーラン監督の6年前の言葉が、今になってようやく理解できはじめたというか。映画館で作品を見ることの美しさ、豊かさ、尊さ、素晴らしさを、32歳になった僕は、俳優の側面を活かしてちゃんと伝えるべきだと、今回改めて感じています。
 
── 6年かかりましたか…。
 
中島:意識がだいぶ変わりましたね。6年前は、ただただノーラン監督作に出たいという思いだけで、失礼なことをあれこれ言ってしまいました。監督の「じゃあ、キャンディデート(候補)にしておくよ」という言葉がすごく耳に残っているんです。
あれから、いろいろな監督さんたちにもお会いしていますが、みなさん共通して、「映画館を守っていきたい」ということを異口同音におっしゃっています。
なので、この東京国際映画祭では改めてスクリーンで映画を観ることの貴重さや、そこでしか感じることのできない体験や感動などを、出来るだけ上手に自分らしく言語化して、ナビゲーターを務められたらいいなと思っています。
 
── 特に、配信系の作品鑑賞に慣れてしまった若い世代に、映画館で観ることの楽しさや面白さを伝えるとしたら?
 
中島:僕自身は、配信系の作品も多々やっていますので、映画にも配信にもリスペクトはあります。しかし、やはり身体を動かして映画館に行って、チケットを買って映画を観る。その身体を動かすことが結構大事で、後々の忘れられない思い出になると思います。
僕自身、小学4年生のときに、スティーヴン・スピルバーグ監督の『A.I.』を観て、めちゃくちゃ泣いて両親を驚かせたことがありまして。その『A.I.』という映画が、僕の人生を一番最初に動かした映画になっています。そういう実体験・原体験を皆さんにも持っていただけたらいいなという気持ちで、今回のテーマでもある「お客さんと映画を繋ぐ」というところに、ちゃんと着地したいなと思っています。
今は、TikTokだったり、インスタのリールもそうですが、もはや2秒とか1秒でスワイプの世界じゃないですか。最近、同世代たちと話していると、「2時間の映画が観れるか?」議論があるんです。若い人は、結構観られないんですよ。「続かない」みたいな。「ずっとスワイプできちゃってるから、2時間じっとしてるのは無理」とか。
でも、だからこそ僕らみたいな表現の前線に立つ人間たちが、映画を体験することの楽しさをちゃんとアピールすることが大事で、2時間魅せられる作品を作ることが大事だと感じています。それによって、“映画の火”は消えないんじゃないかと信じています。
今回は、僕がナビゲーターになることによって、「とりあえず彼が観ているから」、「彼が言っているから観てみよう」という方がひとりでも多く増えれば、僕が就任した意味があるかなと思います。
 
── インターナショナルなお仕事を数多く経験していますが、それぞれ、どんな準備やリサーチをして臨みますか?
 
中島:食と同じように、「これは自分の舌には合わなかったな」というものがありますよね。「この映画、僕には少し違うんだよな」とか。
だから様々な作品を観ながら、「これは、今の自分じゃ理解できないかも」と思っても、数年後になら理解できるかもしれないし、かえって好きになることもあるかもしれないと心に刻んで、“余白”を意識して観るようにしています。
とにかく、たとえすごく忙しくても、できるだけ多くの作品をちゃんと観るようにしていますね。
 
── これだけ映画への愛と造詣が深い中島さんにナビゲーターをお引き受けいただいて感謝です。このご縁を繋いで、近い将来、コンペティション部門の審査委員としてTIFFに参加していただきたいです。
 
中島:いやー、有難いですよね。今こうして東京国際映画祭にまずは参加させていただいたことが、自分自身、俳優として嬉しいことなので。このお声がけは最高なことです。
しかし、やはりそれに相応する自分自身というか、まずは、多くの方が感動できるような、面白いと言っていただけるような作品を自分自身で作ったときに、うまく掛け算ができたらいいなと思います。一旦、代表作を持ってくるので待っていてください。
まずはオープニングを自分の作品で飾ってから、審査委員になれたら最高ですね。
期待してお待ちください!
 
 

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